日々利用者が安心して過ごせるように、介護士は身の回りのサポートを行います。
介護を通じて利用者と接する時間が長くなってくると、自然と距離感が縮まってくるものです。はじめは緊張したりぎくしゃくしたりしていた関係も、次第にほぐれていくことでしょう。しかし、ここで注意しておきたいのは、それは相手に敬意をもって接したが故の結果であり、それを目指して行動することはやや本質からズレているという点です。
端的に言えば、「なれなれしく接する」ということと「フレンドリーに接する」ことは全く異なるということです。「なれなれしく接する」とは、相手を軽んじて、「このぐらいは大丈夫だろう」という気持ちで言葉遣いを緩め、相手に接することです。これは、先述のように相手に敬意をもって接するような態度とは真逆のものであり、介護士は厳に慎む必要があります。
一方で、「フレンドリーに接する」とは、相手との関係を良好なものに保つために、親しみやすい態度を取ることです。ここで言う親しみやすさとは、サービス利用者である高齢者からすれば、自分の話を親身に聞いてくれることや、対応が丁寧であることを意味します。そのような態度で接してくれる介護士に、高齢者の方は自然と心を開き、どんなことでも相談したいと考えるようになるでしょう。
つまり、「なれなれしさ」は相手を軽んじ、軽率に距離を縮めようとするのに対し、「フレンドリー」とは相手を敬い、大切にしようと努めた結果として得られる関係性になるのです。介護士の「接遇」は、当然フレンドリーなものを目指すべきでしょう。